部落差別(同和問題)
部落差別(同和問題)は、日本社会の歴史的過程で形づくられた身分差別によって、国民の一部の人々が長い間、経済的、社会的、文化的に低い状態を強いられ、今なお日常生活の中で差別をうけているなどの日本固有の人権問題です。
この問題を解決するため、1969(昭和44)年以降、各種の特別対策を講じた結果、住環境などの物的な基盤整備などは大きく改善され、2002(平成14)年3月には特別対策としての事業も終了し一般対策へ移行しました。国や地方公共団体をはじめとした人権教育・啓発の取組により、心理的差別の解消も進んできましたが、インターネットによる差別事案や「えせ同和行為」はいまだに後を絶たず、部落差別(同和問題)への理解がいまだ不十分であることを示しています。 2016(平成28)年12月、部落差別解消をめざし教育・啓発の推進などを柱とした「部落差別の解消の推進に関する法律」(部落差別解消推進法)が成立・施行されました。
部落差別(同和問題)を解決するには、国民一人ひとりが、部落差別(同和問題)について自分の問題として一層の理解を深め、因習や偏見、世間体などに縛られず、日常生活を人権の視点から見つめ直すことが必要です。
県では「部落差別解消推進法」の周知を図るとともに、部落差別(同和問題)への正しい認識と理解を深めるための教育・啓発を学校、家庭、地域、職場などさまざまな場において、関係機関と連携して取り組んでいます。
部落差別の実態に係る調査結果が公表されています
法務省人権擁護局は、部落差別の解消の推進に関する法律(平成28年法律第109号)第6条に基づき、部落差別の実態に係る調査を実施しました。
詳細は、以下のHPをご覧ください。
〇法務省
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00127.html
外国人の人権
2019(令和元)年6月末の在留外国人数は、282万9,416人(兵庫県内:11万2,722人)で、多くの外国人が日本で暮らしています。
また、日本に入国する外国人は長期的には増加傾向にあり、2018(平成30)年には約3,010万人と過去最高となっています。
外国人をめぐっては、言語、宗教、習慣などの違いから、さまざまな人権問題が発生しています。例えば、外国人であることを理由にアパートやマンションに入居させないなどの差別的事案も生じています。
また、特定の民族や国籍の人々を排斥しようとする不当な差別的言動が社会的に関心を集めていたことから、2016(平成28)年には「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(ヘイトスピーチ解消法)が施行されました。
県では、外国人県民が安心して暮らすことができるよう、ひょうご多文化共生総合相談センターにおいて、多言語(日本語、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語など11言語対応)による生活・法律相談を行っています。
また、県教育委員会では、子ども多文化共生センターを中核として、日本語指導が必要な外国人児童生徒などの自己実現を支援するとともに、すべての児童生徒に共生の心を育成するため、子ども多文化共生教育の充実を図っています。
2019(平成31)年には、外国人労働者受け入れ拡大のため、改正入国管理法が施行されました。今後急増が見込まれる外国人を「生活者」として迎え入れるため、公的機関や生活インフラの多言語化など、整備が進められています。
言語、宗教、生活文化や習慣などの違いを超え、多様性を受け入れ、互いに認め、関わり合う多文化共生社会をつくっていくことが重要です。
北朝鮮当局によって拉致された被害者等の人権
1970年代から80年代にかけて、北朝鮮当局による日本人拉致が多発しました。現在、17名が政府によって拉致被害者として認定されています。うち兵庫県関係者には田中実さんと有本恵子さんがいます。他にも北朝鮮当局により拉致された可能性を排除できない人たちがいます。
2002(平成14)年9月に北朝鮮当局は日本人拉致を認め、同年10月に5人の拉致被害者が帰国しましたが、他の拉致被害者について、いまだに北朝鮮当局から納得のいく説明はありません。
このような状況に対し、2006(平成18)年に「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」が施行され、国及び地方公共団体の責務等が定められるとともに、毎年12月10日から16日を「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」としました。
また、2011(平成23)年4月の閣議決定により「人権教育・啓発に関する基本計画」に「北朝鮮当局による拉致問題等」が追加され、拉致問題等の解決に向けた、国民各層や国際社会の関心と認識を深めるため、啓発・広報活動をはじめさまざまな取組が進められています。
北朝鮮当局による拉致問題は絶対許されるものではありません。拉致被害者の無事の帰還を望む心情に応え、国を挙げて全力で真相の解明がなされなければなりません。
県では、2002(平成14)年から拉致問題の真相解明と解決に向けて幅広く県民の皆様の協力を得るため、ブルーリボン運動を推進し、署名活動も行っています。
拉致問題をはじめとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が国際社会を挙げて取り組むべき課題とされる中、この問題を喫緊の国民的課題として関心と認識を深めていくことが大切です。
拉致被害者ご家族メッセージなど
性的少数者の人権
性的指向とは,人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示すことを言います。具体的には,恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛(ヘテロセクシュアル)、同性に向かう同性愛(ホモセクシュアル)、男女両方に向かう両性愛(バイセクシュアル)を指します。特に、「男性が男性を、女性が女性を好きになる」ことに対しては根強い偏見があり、同性愛者、両性愛者の人々は場合によっては自らの居場所を追われることさえあります。現在では、性的指向を理由とする差別的取扱いは不当なことであるという認識が広がっていますが、いまだ偏見や差別があるのが現状です。
性的指向はさまざまであることを認識し、偏見や差別をなくし、理解を深めることが必要です。
女性の人権
男女平等の理念は、日本国憲法に明記され、法律上も1972(昭和47)年の男女雇用機会均等法などによって男女平等の原則が確立されています。また、1985(昭和60)年に女性差別撤廃条約が批准され、1999(平成11)年の「男女共同参画社会基本法」に基づき、「第4次男女共同参画基本計画」(平成27年改定)が策定され、男女が互いに人権を尊重しつつ責任を分かち合い、その個性や能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現をめざしたさまざまな取組が進められています。さらに2015(平成27)年には、女性の職業における活躍の推進を図るため「女性活躍推進法」(令和元年改正)が制定されました。
しかし、今なお、男女の役割を固定的にとらえる意識などが依然として根強く社会に残っていることがあり、女性が不利益を受ける原因にもなっています。
県では、2016(平成28)年度から2020(令和2)年度までを期間とする「ひょうご男女いきいきプラン2020」を策定し、男女がともに、いつでも、どこでも、いきいきと生活できる男女共同参画社会をめざしています。
一方で、配偶者や恋人などからの暴力(ドメスティック・バイオレンス/DV)や職場などにおけるセクハラ、性犯罪なども重大な問題です。そのため、「ストーカー規制法」(平成28年改正)、「配偶者暴力防止法」(平成26年改正)が施行されました。特にDVに関しては、県としても、DV被害の防止や被害者支援に向けて「兵庫県DV防止・被害者保護計画」(平成31年改定)に基づき、女性家庭センターや男女共同参画センターをはじめとした関係機関の連携を強化するなど支援体制の充実に努めるほか、防止に向けた意識啓発などを行っています。
しかし、女性が被害を訴えにくいことから問題が潜在化する傾向があります。そうならないようにするため周囲の人たちの理解と協力が重要です。
インターネットと人権
インターネットやSNSは、だれでも手軽に情報を受信・発信できる便利なメディアとして急速に普及し、私たちの生活に欠かせないものとなっています。
しかし、匿名(実際には発信元の特定は可能)で簡単に発信できることから、他人を誹謗中傷する表現や差別を助長する表現、個人や集団にとって有害な情報が掲載、拡散されるなど、人権に関わる問題が発生しています。特に子どもが、保護者の目の届かないところで犯罪被害等のネットトラブルにあう事例が多発しています。
例えば、青少年の性を売り物にした、いわゆるJKビジネスの出現やSNSなどを通じた児童ポルノ自画撮り被害の増加など、青少年の健全な育成が阻害されるおそれが増大しています。
このような状況に対し、表現の自由に配慮しつつ、人権を侵害する悪質な情報の掲載に対する法的な対応や業界の自主規制による対策が進みつつあります。
県では、2009(平成21)年に「青少年愛護条例」を改正し、18歳未満の青少年が携帯電話契約時にフィルタリングを利用しない場合、保護者に対し正当な理由の申出書の提出を義務付けるなど、インターネット上の有害情報から青少年を保護するさまざまな取組を進めています。
また、2016(平成28)年には、青少年のインターネット利用に関する基準づくりを県内全ての人々で支援する規定を定め、青少年が安全・安心なインターネット利用について主体的に考える取組を進めています。
なお、在留外国人及び部落差別(同和問題)に係る悪質な書き込みに対して、2018(平成30)年度からインターネット・モニタリング事業を実施しています。
子どもの人権
1989(平成元)年に、国連は「子どもの権利条約」を採択しました。
子どもも、大人と同様に基本的人権を保障されています。大人以上に人権を侵害されやすい子どもは、社会的に保護され、守られなければならない存在です。しかし、子どもを取り巻く環境は、いじめ、体罰、虐待など深刻な状況にあります。
いじめについて県は、「兵庫県いじめ防止基本方針」(平成26年)の策定、「いじめ対応マニュアル」(平成29年)の改定などにより、すべての子どもがいじめを行わず、いじめを放置することがないよう、学校、家庭、地域が互いに連携協力し、県民総参加によるいじめの問題の克服に向けた取組を推進しています。
学校での体罰については、「学校教育法」により明確に禁止されているにもかかわらず、体罰による人権侵犯事件が発生しています。
また近年、深刻な問題として児童虐待の問題が頻出しています。乳幼児や児童を保護者が虐待し、中には死に至る痛ましい事件が後を絶ちません。そのため、数次にわたり児童虐待の防止強化に向けた児童虐待防止法、児童福祉法が改正され、体罰禁止の法定化、児童相談所の体制強化などが追加されています。
県では、学校での体罰防止に努めるほか「ひょうご子ども・子育て未来プラン」(平成27年)に基づき、子育てや児童の虐待、子どもの非行などに関して、県こども家庭センターやひょうごっ子悩み相談センターを中心とする相談や支援機能の充実に努めるとともに、特に虐待については、県・市町・関係団体が協働し、防止に向けた支援体制の充実、意識啓発などを行っています。
高齢者の人権
日本における平均寿命の大幅な伸びや少子化などを背景として、社会の高齢化はきわめて急速に進んでいます。2018(平成30)年10月現在、総人口に占める65歳以上の人口の割合は28.1%、約4人に1人以上の割合となっています。2036(令和18)年には3人に1人が高齢者になると予測されています。
こうした中、高齢者の人権問題が大きな社会問題となっています。高齢者に対する虐待には、「身体的虐待」、「心理的虐待」、「養護の怠慢・放棄(ネグレクト)」に加えて、本人の承諾なしに年金や預貯金を引き出したりする「経済的虐待」などがあります。
また、高齢者に対する就職差別や悪徳商法、詐欺による被害など、高齢者を巡る問題が発生しています。
こうしたことから、2006(平成18)年4月には「高齢者虐待防止法」が施行されました。同法では、例えば、虐待防止が国及び地方公共団体や国民の責務とされ、虐待の定義や通報義務などを定めています。
県では、「少子高齢社会福祉ビジョン」のもと、「兵庫県老人福祉計画」などにより、高齢期においてその尊厳が守られ、高齢者の豊かな経験や知識が十分に尊重され、活用されるような社会づくりを進めています。
一方、社会の高齢化とともに増加する認知症の人への取組が課題となっています。国では、2019(令和元)年6月「認知症施策推進大綱」が取りまとめられました。これを踏まえ、県でも、「認知症予防・早期発見の推進」、「認知症医療の充実」、「認知症地域支援体制の強化」、「認知症ケア人材の育成(認知症支援人材含む)」、「若年性認知症施策の推進」の5本柱により、認知症の人やその家族の視点に立った総合的な取組を推進しています。
障害のある人の人権
障害のある人を含むすべての人々にとって住み良い社会づくりを進めていくためには、各種の施策だけでなく、社会を構成するすべての人々の十分な理解と配慮が必要です。
代表的な取組の一つとして、道路や床の段差をなくすといった「バリアフリー」があります。しかし、点字ブロックの上に自転車を駐輪すると、視覚障害のある人の歩行の妨げとなるなど、ハード面での整備がなされても本来の機能を阻害されていることがあり、「心のバリアフリー」も進めていく必要があります。それにより、年齢、性別、障害の有無、言語、文化などの違いに関わりなく、すべての人が地域社会の一員として尊重され、互いに支え合い、一人ひとりが持てる力を発揮して活動することができる社会(ユニバーサル社会)づくりにつながります。
2016(平成28)年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)では、「障害がある人もない人も共に暮らせる社会」をめざして「不当な差別的取扱い」を禁止し、あらゆる組織に対し「合理的配慮の提供」を求めています。
県では、2005(平成17)年4月に「ひょうごユニバーサル社会づくり総合指針」を策定(平成30年10月改定)、2019(平成30)年4月には、「ユニバーサル社会づくりに関する条例」と「障害者等による情報の取得及び利用並びに意思疎通の手段の確保に関する条例」(愛称:ひょうご・スマイル条例)を施行しました。
障害のある人が合理的な配慮を受け、社会に包摂されて暮らせるとともに、県民すべてが障害のある人の権利や多様性を尊重し、差別の解消を通じて相互の信頼が確立された住みよい社会の実現をめざし、教育及び啓発に努めます。
HIV感染者・ハンセン病患者等の人権
エイズやハンセン病などの感染症については、正しい知識や理解の不足から人権に関する問題が生じています。
エイズの原因であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染カは非常に弱く、性行為以外の日常生活で感染する機会はまずありません。
主な感染経路は性行為による感染、血液による感染、母子感染の3つです。たとえ感染しても治療すれば発病することはなく、人に感染させることもありません。
県では、エイズに関する正しい知識の普及啓発、医療体制の整備、検査・相談体制の整備などの対策を行っています。
また、ハンセン病は、「らい菌」に感染することで起きる病気ですが、ハンセン病も感染力が弱く発病は極めてまれで、容易に治癒する病気です。
しかし、ハンセン病元患者は「らい予防法」を中心とする国の隔離政策により、偏見と差別の中で多大な苦痛と苦難を強いられてきました。
優生保護法は、不良な子孫の出生を防止することを目的とし、1948(昭和23)年にハンセン病患者も対象とされました。しかし、療養所内ではこの法律の対象となる以前から患者同士の結婚の条件として断種や堕胎が強いられていました。
県では、療養所入所者の里帰り事業や、療養所への訪問交流事業、普及啓発に力を注いできました。
2019(令和元)年11月には「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律」が施行されました。家族などが偏見と差別の中で、望んでいた家族関係を形成することが困難になるなど、長年にわたり多大な苦痛と苦難を強いられてきたことから、ハンセン病元患者の家族の方々に補償金が支給されます。
感染症は誰にでも起こる可能性のある病気です。感染症に対する正しい知識を持ち、偏見や差別を解消しなければなりません。
刑を終えて出所した人の人権
刑を終えて出所した人などに対しては、まだまだ根強い偏見や差別意識があります。就職やアパートなどへの入居に関する差別や、悪意のある噂や地域社会からの拒否的な感情など、社会復帰をめざす人たちにとって現実は極めて厳しい状況にあります。
また、本人だけではなく、その家族や親族も地域社会や職場、学校などで差別的な扱いを受けることがあります。2017(平成29)年には、刑を終えて出所した人などが再び社会を構成する一員となることへの支援についても基本理念とした「再犯の防止等の推進に関する法律」が施行され、「再犯防止推進計画」が閣議決定されました。県でも2019(平成31)年3月に策定した「第5期地域安全まちづくり推進計画」で、更生支援と再犯防止の取組を施策の新たな一つの柱として示しました。
刑を終えて出所した人などが、真の社会復帰を実現し、社会の一員として円滑な生活を営むことができるようにするためには、本人の強い更生意欲とともに、家族、職場、地域社会など周囲の人々の温かい理解と協力が必要です。
犯罪被害者等の人権
犯罪被害者やその家族は、事件そのものに関する精神的負担や経済的・時間的な負担に苦しんでいます。さらに、一部のマスメディアによる過剰な取材や報道、プライバシー侵害、名誉毀損、平穏な私生活を侵害される苦痛にさらされがちです。
そのため2005(平成17)年には「犯罪被害者等基本法」が施行されるなど、関連法の整備が進められ、犯罪被害者やその家族の人権に対する配慮と保護が図られています。
また、県では、2010(平成18)年に施行した「地域安全まちづくり条例」に犯罪被害者等支援に取り組むことを明記し、「第5期地域安全まちづくり推進計画」においても、犯罪被害者等の支援の充実を施策の新たな一つの柱として示しました。
犯罪被害者やその家族に対する無責任な噂や中傷、興味本位の報道などが生ずることのないよう、周囲の人々の理解と社会的な対応が求められます。
ホームレスの人権
仕事の減少、倒産や失業、病気やけがなどが原因でホームレスとなった人々の中には、自立の意志をもつにもかかわらず、偏見や差別の対象になる人が少なくありません。また、ホームレスに対する嫌がらせや暴力事件などもたびたび発生しています。
こうした中、2002(平成14)年に「ホームレスの自立支援等に関する特別措置法」(ホームレス自立支援法)が成立し、地方公共団体は就労機会や住居の確保、生活相談などの対策を講じるよう定められました。
また2015(平成27)年施行の「生活困窮者自立支援法」(困窮者支援法)により、福祉の観点から実施しているホームレス対策については、さらに生活困窮者に対する包括的な支援体制の強化などが図られています(平成30年、一部改正)。 県では、「兵庫県ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」(平成16年)、「兵庫県ホームレスの自立の支援等に関する実施方針」(平成22年、令和2年一部改定)を策定し、国・県・市の関係機関と民間支援団体からなる「兵庫県ホームレス自立支援対策連絡協議会」を設置して、ホームレスに関する問題解決を図っています。
ホームレスの自立を図るためには、ホームレス及び近隣住民双方の人権に配慮しつつ、ホームレスに対する偏見や差別を解消するよう、地域社会の理解と協力が必要です。
人身取引(トラフィッキング)
「人身取引」(トラフィッキング)とは、性的搾取、強制労働などを目的として、女性や子どもなど立場の弱い人々を獲得、輸送、引き渡し、収受する行為であり、重大な人権侵害です。
また、労働搾取や臓器摘出など、男性も被害の対象となり得ます。
人身取引対策に関する関係省庁では、平成26年12月に犯罪対策閣僚会議で決定された「人身取引対策行動計画2014」に基づき,関係行政機関が緊密な連携を図りつつ、人身取引の防止・撲滅と被害者の適切な認知及び保護を推進しています。
人身取引をなくすためには、その実態を知り、社会全体の問題として認識する必要があります。
アイヌの人々の人権
アイヌの人々が憲法の下で平等を保障された国民として、その人権が擁護されなければならないのは当然のことです。しかし、アイヌの人々に対して、学校や就職、結婚などで偏見や差別が起きています。
1997(平成9)年に、アイヌ文化を振興し、伝統の普及を目的とした「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(アイヌ文化振興法)が成立しました。そして、2007(平成19)年、「先住民族の権利に関する国連宣言」(先住民族権利宣言)が採択され、翌年には「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が国会で決定され、公的にアイヌの人々が先住民であると認められました。
2019(令和元)年には、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図ることなどを目的に「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ新法)が成立しました。
災害と人権
2020(令和2)年1月17日は、阪神・淡路大震災から25年の節目となりました。県では、震災で得た経験と教訓を地域や世代を超えて継承・発信するため、「震災を風化させない-『忘れない』『伝える』『活かす』『備える』」を基本コンセプトに、阪神・淡路大震災の経験と教訓を広く発信するとともに、「災害文化」の醸成をめざし、安全な社会づくりに向けて歩む決意を引き続き発信します。
また、2011(平成23)年に発生した東日本大震災やそれに伴う福島第一原発事故、さらに近年では全国各地で発生する集中豪雨などの災害により、多くの人々が避難生活を余儀なくされています。
このように、災害は人々の暮らしのすべてを奪い、理不尽な苦しみを強いるもので、こうした事態そのものが被災者の人権を大きく損ないます。
また、避難生活の長期化に伴うトラブルや、放射線被ばくについての風評などに基づく差別的取扱いなど、さまざまな人権問題が発生しています。中でも、高齢者や障害のある人、言葉の壁のある外国人など、いわゆる「要配慮者」と言われる人たちが受ける困難は、より大きなものになります。
災害時の人権侵害を防ぐためには、改めて「基本的人権の尊重」の原点に立ち返って考えることが大切です。
ハード面の支援だけでなく、「人と人のつながり」といったソフト面の支援を継続していくことによって、つながりの輪を広げていくことが、被災者の人権を守ることにつながります。

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2023.03.10
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